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今回は、民法の改正のお話です。

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 今回は、民法の改正のお話です。

 民法とは、簡単にいえば、個人の財産、契約、家族関係などを規律する法律のことで、その自由化と確立こそが、近代市民社会と経済的発展の基礎となっています。

 我が国の最初の民法典は1890年(明治23年)に公布されましたが、欧米の列強諸国に屈しまいとする明治政府の方針によって軍隊とともに法制度の近代化を急いだ明治政府によって有能な使節がヨーロッパに派遣され、当地の法制度の調査を行った結果、民法についてはフランス法を基礎にボワソナード博士らを中心に起草されたといわれています(旧民法)。

 その後、旧民法は個人主義・自由主義を徹底し過ぎ、我が国古来の慣習や家族制度と調和しないなどと批判され、民法典論争が起き、その結果、1896年(明治29年)4月27日、今の民法の公布にいたりました。

 以上は、高校の日本史で少し、大学の民法の授業ではもう少し詳しく、勉強されたと思います。

 民法はその後、少しずつ改正され、平成になってから、それまでは明治以来旧式のカタカナ表現で大変読みにくかったのですが、時代に沿うよう普通の口語体になりました。

 今年、1896年から約120年経った平成29年6月2日に公布された法律第44号によって、民法の債権すなわち契約に関する部分が大きく改正されることになりました。

 債権、契約に関する規定って具体的にどんなものということから説明し出して、今までの民法がこうで改正法ではこう変わったのだと逐一説明することは出版されている本に任せることにします。

 おおざっぱにいうと、今までの約120年間、明治時代に作られた規定を基礎に、裁判で蓄積されてきた解釈で補いながら、契約上いろいろなトラブルに対応してきたが、今の時代に沿うよう、そして国際的な契約ルールに調和するよう、財界、学者らの意見も参考にし、思い切って大改正をということになったのだと思います。

 企業が一般消費者と定型的な取引をする場合、どこまで契約としての効力を認めるのか、契約で利息を定める場合、上限は別の法律で定められているけれど、利息を定めない場合の法定利率年5%も高すぎないか、債権の消滅時効、一律10年でいいのか、仕事別の短期消滅時効の規定は今の時代に合うのか、債務をきちんと実行しない場合(債務不履行といいます)の損害賠償の要件や範囲がわかりにくい、契約を解除する場合の要件がわかりにくい、買った物に不具合があった場合、買主は売主にどのような請求ができるのか、建物の所有者が他人に建物を貸している場合、建物を第三者に売ったら、買った人が貸主の地位を引き継ぐのか、今までの民法にははっきり書かれていなかったところもあり、法律の解釈上いろいろな議論があり、裁判で補っていたところもありました。以上はほんの一部です。まだまだあります。今回の改正で完全に解決されなかった部分もあります。

 私自身、これからさらに勉強しなければなりません。

以上