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【交通事故 4】相手から被害者側にも過失があると言われたら

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Question

自動車で道路を直進していたら、いきなりガソリンスタンドから出てきた自動車と衝突して骨折してしまいました。一時停止や左右をしっかり見ない相手が全部悪いと思うのですが、私にも落ち度があると言われてしまいました・・・

Answer

被害者にも過失があると言われることも

交通事故では、過失相殺(かしつそうさい)といって、加害者と被害者の過失の程度によって、どの程度損害を分担しあうかの計算をします。例えば、交通事故の時に「10対0で向こうが悪い」「3対7でこちらが悪い」などの話を聞かれたことがあると思いますが、それが過失の程度の話しです。

この事案では、いきなり道路に出てきた相手が悪いのですが、相手が一応徐行して出てきていれば、基本的には80対20の割合で相手の過失があるということになります。

例えば、あなたの損害額の合計が500万円、相手の自動車の物損が100万円だったとしましょう。そうすると、あなたの損害額500万円の8割にあたる400万円を相手が負担し、相手の損害額100万円の2割にあたる20万円をあなたが負担しなければなりません。
これを差し引いて、『400万円-20万円=380万円
これが、あなたが相手に請求できる金額になります。

過失相殺、お互いの過失の割合はどのように決められるのでしょうか。最終的には、交通事故による紛争が裁判所での民事訴訟という形になり、担当する裁判官の判断(判決)によることになります。

先ほどの例は、事例を単純にして計算したおおざっぱなもので、過失相殺の割合は、各ケースの細かい事情をもとにしなければ計算できません。

多くの交通事故の場合、頼りになるものは事故通報後に現場に駆けつけた警察官が作成する実況見分調書くらいで、あとは、当事者の記憶ということになります。的確な目撃証人もいないのが現実です。実況見分も、現場にやってきた忙しい警察官は交通の往来の合間を縫うようにして、事故当事者から簡単な聴き取りをしながら自分の想像も膨らませてさっさと済ませてしまうのでしょう。そうすると個々の事故内容の真実を究明することは実際極めて困難だということになります。

そこで、判例タイムス社という法律雑誌の出版社は、過去にあった多数の交通事故例を集積し、いろいろな道路状況、当事者(四輪自動車、自動二輪車、自転車、歩行者など)の種別の組み合わせで、それぞれケース毎に基本的な過失割合を決め、そこから当時の天候、時間帯、当事者の年齢、交通違反など具体的な落ち度の有無、態様などを加味して、定型的に過失割合の加減をするという一覧表を作成し、過失をめぐる紛争に対応できる資料を作成しています。裁判所でもこの資料を重視しています。

保険会社の担当者もまたこの資料を参考にし、「このケースでは○対○となります!」と断言することも珍しくありません。しかし、保険会社の担当者は加害者の味方であるということと、法律のプロではありませんので、参照する資料を間違えることがしばしばあります。本当の過失割合と金額は裁判の結果をまたなければ判明しないのです。

保険会社の提案に少しでも疑問があったら、被害者の味方になってくれる専門家(弁護士)にご相談されることをお勧めします。